見晴らしのいい仏塔のある場所から道を下っていく。少し標高が下がるだけで、少し方角が変わるだけで、山々の見え方が変わってくる。エベレストもすぐに手前の山に隠されてしまった。
道沿いにあるロッジでは赤い布を広げ土産物を売っていた。
ロッジがいくつかある場所があり、このあたりがキャンヅマの中心というのだろうか。もうエベレストは見えなくなってしまったが、アマダブラムの特徴のある形がとても美しい。山を眺めながらお茶を飲みしばらく休憩する。
エベレストのベースキャンプやカラ・パタール、またゴーキョを目指す人達は、キャンヅマからからまだまだ先へと歩いていくが、我々は途中の分岐点を左に折れてクムジュン村へと向かっていく。
丘を登っていくとお経のびっしりと書かれた岩があった。裏から見るとアマダブラムとそっくりな形をしている、いやアマダブラムと同じ形になるように岩を削ったのかもしれない。
上から大きな荷物を背負った若者が下りてきた。畳ほどの大きさの板に椅子をくくりつけて運んでいるようだった。
村に入ってきた。建物は整然として風景によく合っている。
ロッジで昼休憩をとる。看板には標高3,790mと書いてあった。富士山よりも高い場所へ来た。部屋の中からはアマダブラムがよく見える。
注文した料理は焼きそばとシチュー。焼きそばは辛くなく焼きうどんの見た目そのままの味で、シチューも見たとおりの味でおいしい。
料理を待っている間に部屋の中を見ているとカレンダーが掛かっていた。カレンダーはどの国も共通だろうと思っていたが数字すらまともに読めず、そもそも数字なのかもわからなかった。
また、棚の中に、雪山の頂上に立っている人の写真が飾ってあった。帰り際に誰なのかと聞いてみると、このロッジの主人だという。かつてはシェルパとしてエベレストへは数え切れないほど行き、頂上へも2回立ったという。こんな人達が普通にいることに感激し、思わずGreat!などといい握手をしてしまった。背も高かったが、とても厚い手をしていたのが忘れられない。
ロッジをあとに村の中心へと、仏塔の目に見つめられながら進んでいく。先ほどまではあれだけ晴れていたのに、急にガスが出てきて太陽が隠され、寒くなってきた。
村にはエベレストに最初に登頂したヒラリー氏が作った学校がある。人もなく閑散としていたが、いろいろな建物があった。日本人の協力で作られたという建物もあった。
クムジュン村をあとに今日泊まるロッジを目指し、シャンボチェの丘へ向かって歩いていく。ロバの一団が荷物を背負って下りてきた。額の飾りがかわいい。途中、おそらく3,800mを越えた峠を通る(手元の高度計は3,900mを示していたがそこまであったのかはわからない)。ここが今回のトレッキングの最高地点となった。
ロッジに着いたものの、周りは白くガスで覆われ、展望は何もなかった。泊まったロッジはホテルと言った方がいいかもしれない。ウェルカムドリンクにオレンジジュースとクッキーをもらう。 そしてこんな山の中でWiFiが繋がるのが驚いた。
夕食は和食で、白米、味噌汁とゴーヤの肉詰めなどだった。旅行中は現地の食べ物だけでいいと思っていたが、味噌汁を飲んだ時にやっぱりおいしいと思ってしまい、なんだか少し悔しい気になる。
夜中ダウンを着て外に出ると、満点の星空だった。
ナムチェバザール~キャンヅマ(エベレストを望む) <-- │ シャンボチェ~ナムチェバザール -->